写真文化事業室

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しまね路の旅・フォトコンテスト2012 入選作品

大賞

匠の座

【撮影者】
池尻文雄(島根県出雲市)

【選評】
たたら製鉄で知られる神話の国とも深い関わりのある鍛冶屋の作業を撮影していて、薄暗い暗い仕事部屋中での全体の光線の使い方が上手です。欲を言えば、匠の顔に少し弱い光が当たっていれば表情が少し出て良かったと思います。ストロボ光で1/128(M)の光を当てるかデフィーズする手法もある。

準大賞

神事

【撮影者】
高橋範行(島根県松江市)

【選評】
夜間の撮影ですが、この地方ではなかなか見る事の出来ない神事であり、深夜から始まって日の出の頃には終わってしまいます。出雲の数多いお祀りのなかでも崇高な神事であり、古来から伝承された形が今でも残っているもので、写真は記録と言われるように、美保関神事に伝承されるものです。

直会祭

【撮影者】
田村啓子(島根県松江市)

【選評】
神事の舞い、神能での姫と思われます。組写真の3点のうちの1枚ですが、神秘的な美しさが伝わってきます。タテ位置のフレームで撮られたらいかがだったでしょうか。足元まで見たい気もします。

優秀賞

御神田

【撮影者】
横山睦(福岡県大牟田市)

【選評】
出雲・斐川地方の築地松の垣根は山陰の一つの風土を象徴する風景です。曇りの日の撮影と思われますが水田のブルーの色がとても美しいです。さらに水面の影が不思議な深みを感じさせてくれています。

大寒みそぎ秘行

【撮影者】
橋本英治(島根県出雲市)

【選評】
不思議な大寒の禊ぎで作者は秘行とタイトルを付けています。現代の社会の中に残る風俗でまことに神秘的です。男たちの褌姿も面白いです。

波による造形

【撮影者】
谷田川武(東京都練馬区)

【選評】
畳ヶ浦のノジュールを幾何学的に取り上げている点に評価が集まりました。自然が作り出した造形であるにも関わらず、なぜか人工的な雰囲気が醸しだされています。独特の地形でありながらも、ありきたりな風景写真になっていない点は、撮影者の力量と言えましょう。

棚田の春

【撮影者】
錦織永治(広島県広島市)

【選評】
島根の雰囲気がよく表れており、各審査員からも評価の高かった作品です。狭い棚田ながら、管理された石垣やあぜ道がみられ、丁寧に田植えをされている様子がよく伝わってきます。杉林を含め、水田耕作をやめた耕地が背後に見えることにより、手前の水田が一層映えて見ることができます。

街道筋の家

【撮影者】
来栖旬男(山口県山口市)

【選評】
城下町の街通りなのであろう。簀の子状の格子戸に、弱い光を当てると良かったのではないでしょうか。ストロボでは、1/128の光をマニュアル(M)で当てるとよいです。

審査員特別賞

休暇村より隠岐を望む

【撮影者】
安達彰(島根県松江市)

【選評】
海と空の青さが印象に残る素敵な作品です。また、本土・島根半島・隠岐島という3つの陸地と、それに挟まれた宍道湖・日本海という2つの水域による構成は、島根県東部の地帯構造が端的に示されており印象に残りました。とりわけ、隠岐島がこんなにも大きく見えるのは写真がなせる技であり、感服しました。個人的には隠岐島西端の3段にわたる海岸段丘が明確に確認でき、感激した次第です。さらに、島根半島に位置する原子力発電所からの送電線と赤白の鉄塔も、社会問題を考えさせるきっかけになると思います。(作野広和)

大いちょう

【撮影者】
栗原勉(島根県出雲市)

【選評】
2010年にしまね景観賞を受賞した「萱葺屋根と大いちょう」です。樹齢350年から400年と言われる大いちょうの確かな歴史を感じさせる力強い作品です。全体が明るい黄色い画面の中に背景に萱葺き屋根を配することによって、いちょうの重厚感をだすことに成功しています。(藤岡大拙)

月夜の棚田

【撮影者】
高木晃(島根県松江市)

【選評】
どこにでもありそうで、そうでもない棚田の風景。田植えを終わったばかりの棚田が月光を受けて輝いている。遠くの山すそはすでに靄がおおい、人々は眠りについている。懐かしくも、こころ落ち着く風景です。人々の平穏な祈りとでもいうべきものが描き出されています。明るく輝いている灯火もアクセントになっています。(高野孝治)

歓喜

【撮影者】
沖山徹(広島県広島市)

【選評】
出雲大社の神域でこのような情景が撮られることはよいことです。この作品のよさは、少年達の目線が一途に注連縄の方に向いていることと、それぞれの表情が的確に捉えられていることです。瞬間の描写は写真であるからできることでまさに新鮮な映像となりました。(川本貢功)

古都の朝

【撮影者】
渡部一博(島根県松江市)

【選評】
松江で雪が降った日の翌日と思われます。赤色のバスのボディーが写真全体を明るく効果を上げてくれています。欲張れば、白い雪の上に人影や人の動く姿があれば、生活感も効果的に出たと思います。(桑原史成)

入選

和布刈神事

【撮影者】
石飛桂子(島根県出雲市)

【選評】
和布刈神事は旧暦正月5日に営まれる漁師がワカメの豊作と海の安全を祈願する神事です。神職は船を並べて作った橋で権現島に渡り鎌でワカメを刈り熊野神社に奉納します。この赤い下帯姿の9人の若者は神職が島に渡る手助けをする役で、神事が終わると海に飛び込み岸まで自力で寒中を泳いで帰ります。裸役あっての神事です。上気した肌と下帯の赤、大役を終え胸をはる若者にしまねの明日を期待せずにはいられません。また、恒例行事を捉えた記録性の高い作品に仕上がっています。

 

大森の印象

【撮影者】
渋谷恭子(大分県大分市)

【選評】
組写真の3点のうちの1点だが、大森で撮影されたとある。古い街並みでの1軒の古い民家と思われ、杉板の木目が浮き出ていて歴史が感じられます。下駄を供える風習とは何を意味しているのであろうか。不思議な写真である。

 

八朔牛突

【撮影者】
高宮清通(島根県隠岐郡)

【選評】
八朔は新穀収穫の祝い日とされ、八朔牛突は毎年9月1日に行われる隠岐の大きな行事。大勢の観客が固唾をのんで見守る中、巨体の牛の綱取りをさばく若者の真剣さが伝わってきます。構図としては、もっとアップに牛の頭部あたりと若者の表情などを強調してみるのも面白かったと思います。

荒ぶ海の静寂

【撮影者】
長澤峰男(島根県松江市)

【選評】
極寒の日本海の様子がよく表れています。近景では日本海の荒波が垂直ではなく、水平に渦巻くことで、一層の厳しさが伝わってきます。遠景では、降雪がありながらもほとんど積もっていないことから、強い風の影響を受けていることが理解できます。白くたたずむ風車も、うまく演出されています。

 

銀山逍遥

【撮影者】
有馬透(島根県大田市)

【選評】
ユネスコの世界遺産に指定された石見(大森)銀山。戦国時代から江戸時代に最盛期を迎えたとあります。作品は、いずれも往時をしのぶ建造物の、製錬所跡、五百羅漢、城神神社を組み写真としました。少し沈みがちな色調が銀山遺跡の古色蒼然たる風貌をよく伝えるものとなりました。

 

街並みの人情

【撮影者】
鹿嶋ユキノ(大分県大分市)

【選評】
石見銀山で知られる大森町には多くの出店があり、町は熱気で溢れています。商店の前には往時を偲ばせる町商人の姿でお店を案内している人達があり、この人はここの顔役であることが想像できます。地方に残る風情を感じられて味わいがあります。加えて質感と背景がよいと思います。

雨上がり

【撮影者】
奥西正美(島根県松江市)

【選評】
山陰の小京都といわれる津和野町には街が盆地になっており霧がよく出ます。これをシャッターチャンスのよい状態で津和野太鼓谷稲荷神社を中心画面に入れて下方は町並みの赤瓦を並べ成功しました。画面構成がよい作品です。

 

宍道湖夕景

【撮影者】
松下治由(島根県松江市)

【選評】
静かで美しい作品です。太陽の位置とその大きさが絶妙だと思います。船のシルエットを入れることによって陰影もでてよい作品に仕上がったと思います。夕日は赤く撮りたいと思うのは当然のことです。夕日が赤く見えるのは大気中の水蒸気によるもので、雲がでるくらいの湿度があったほうがより赤く見えるのです。雲といえば、八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を と詠んだスサノオもこのような夕日を見たのでしょうか。この情景からそんな想像をしてしまいました。

 

祝日

【撮影者】
山本敏彦(島根県松江市)

【選評】
恐怖のお面をひょうきんに捉えており面白い作品だと思いました。お面を画面中央に大きく構成したことも成功しています。お面に刻まれたキズや剥落からは、地区の民で守り受け継いできた熱気と伝統の確かさが感じられます。

いずもなんきん

【撮影者】
古浦昌之(島根県松江市)

【選評】
出雲なんきんは島根県指定の天然記念物です。背びれのない小太りの体をちょこちょこと動かして泳ぐ姿は、いかにも涼しそうです。なんきんと一緒に踊るかのような水の舞いが、また見る人に涼感を与えています。

 

秋天

【撮影者】
佐野弘義(島根県出雲市)

【選評】
秋です。いいですね。空が、雲が。ぴ〜ひゃらどんどん、風もないやわらかい日差しの中を4人の神主と獅子舞が橋を渡ってゆく。衣装も青空に溶け込んでいます。出雲ならではの祭の風景で秋日和の日差しが伝わってきます。獅子の眼がはっきり写っていないところが少し惜しいです。

 

神人共生

【撮影者】
佐藤文雄(島根県松江市)

【選評】
今まさに神事が始まろうとしています。先頭の頭屋さんは美保関の石畳の上をさも誇らしそうに歩いています。手に持ったわらじが印象的な画面となりました。作品全体の色採表現もよく祀りの風景としてもよく撮れています。撮影の角度がよいと思います。

秋祭り

【撮影者】
橋本潤子(島根県出雲市)

【選評】
古くから地元民が尊崇する神社、乙見神社例大祭のハイライトで日本一のわらじの山車「大足半」です。大きな藁草履を画面の中心に置き、それを引く村人も、迎える者も笑顔である。それは豊作や繁盛に感謝をこめて祈る姿である。平凡ではあるが秋の日常を捉えた明るいいい作品です。

 

春の里

【撮影者】
川口亮子(山口県宇部市)

【選評】
山陰地方ならどこにでもありそうな風景であるにも関わらず、なぜか写真が訴えかけてくる秀作です。きれいに整備された棚田、満開のつつじ、もうじき摘み頃のお茶、農家の赤瓦、背後の広葉樹林、小さな駅にローカル線、明らかに人の数よりも多い鯉のぼり。まるで、山陰地方を凝縮したような構成要素を持ちながらも、どことなく控えめな雰囲気が、なんとも言えない島根らしさを表しています。

 

パフォーマンス

【撮影者】
荒木忠義(広島県広島市)

【選評】
海辺に現れた獅子。足を広げて、大空に飛んでいる躍動感が良いと思います。波浪を跳躍し、海のかなたを探しているようでもあります。子供が重要なポイントを占めていますが、残念ながら視線が獅子とあっていないのが少し残念です。子供が獅子頭を見つめた表情をしていれば、もっと印象的な作品になったでしょう。また、砂浜にうつった影を生かす構図も試みられるとよいと思います。

先祖供養

【撮影者】
杉岡常久(広島県広島市)

【選評】
これは日本の滝100選に指定されている竜頭八重滝。先祖供養とあることから盆のころに行われた祭りの一コマなのでしょう。踊り手の手が一斉にぶれ、背景の滝の水の流れと同調しているところが面白いです。この作品では滝水の落ちどころ(滝壺)が見えてこないので、一工夫して滝壺を入れて撮ってみたいです。また、構図的には踊り子全員を写さずに、全体的にもう少し引き付けて撮ったほうがより強い作品になったかと思います。

 

磯の香り

【撮影者】
沖田真須子(広島県広島市)

【選評】
小さな漁村の雰囲気がよく現れていると思います。魚の干物が太陽の光を浴び、なんともいえない紅色に染まっていることが印象に残りました。時々ぶら下がっている洗濯ばさみも印象的です。島根の雰囲気がよく表れている秀作です。

 

神迎神事

【撮影者】
矢田晃一(島根県出雲市)

【選評】
出雲神話に代表される神迎神事は、これからが出雲は神在月といいますが、この作品は夜の神事を幻想的に表現して成功しました。今まさに神様が神殿に向かって行進を始められたところ。シャッターチャンスのよい作品です。

落日の神事

【撮影者】
園山勝治(島根県出雲市)

【選評】
神々の国島根らしいすばらしい作品です。夕焼けのなんとも言えない色合いは、撮影者の技術もさることながら、自然のなせる技だと思います。自然の下で、人間はただ畏敬の念を持ってひれ伏すしかありません。山頂の神職たちのたたずまいから、私達人間の代表として、神々と交信して頂いている様子が伝わってきます。

 

旅の記憶

【撮影者】
河内フジ子(大阪府八尾市)

【選評】
地域密着ローカル線通称「ばたでん」。写真にあるばたでんはかつて南海電鉄で通勤電車として活躍していた電車です。リユースだろうとばたでんは今日も快調です。朱塗りの鳥居は高浜駅と遙堪駅の間にある粟津稲荷神社の参道です。パワースポットの参道に線路が横切っています。出雲の神様のおおらかさが伝わってきます。縦と横の遠近感が一つの画面に表現されていて、面白い作品に仕上がっています。広がりも感じさせるよい作品だと思います。